voice

数週間前のことだが、つけっぱなしにしていたTVから荒井由美の「晩夏(ひとりの季節)」が流れてきた。番組はMusic Fair 21で、出演していたのは杏里と僕の知らない人で、それが晩夏を歌っていた平原綾香だった。それで興味を持って、「The Voice」を借りてきた。

もう数年前になるけれど、同じように見ていないテレビから流れてきた曲を聴いて思わず手をとめて画面に見入ったことがある。そのときの番組は確か題名のない音楽会のクリスマス曲特集で、歌っていたのは辛島美登里さんだった。辛島さんはTVドラマの主題歌を聴いたことがあって知っていたけれど、番組から流れてきた曲からは思考を通り越して注意をひきつける何かの力を持っていた。声量、声の質と響き・・・、まるで楽器のようだと僕は思ったし、一緒に出演していたアイドル歌手が気の毒だった。そのときも辛島さんのアルバムを探してmelting~心の橋、涙のかけら~他何枚か購入した。

Timedomainというスピーカーを作っている会社の方が以前コラムを書かれていたの読んだことがある。確かヨーロッパで開催されたあるコンサートを聴いて感動して涙が止まらなかったという話だった。絵画を見ても感動するし、涙を流さないこともないとはいえないけれどもやはり「音」の持つ力は特別なものがあるように思う。歌は歌わなくても人には「声」がある。声はその人の何かを現し、時にはその人の魅力となる。だけど、語られる言葉は同じでも、言葉が伝える響きは相手によって異なるだろう。だから、語られる言葉も人から受ける言葉も、相手によってひとつずつ異なると僕は思っている。