Rachmaninoff

以前ピアニストの小山実稚恵さんが「とっておきの一枚」としてあげていたのが、ラフマニノフ自身の演奏によるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の演奏だ。注文をいれるほどではないので、買い物に出かける度探していたが、見つけるまで長い時間がかかってしまった。僕が購入したのは、BMGファンハウスのもの。

2003年8月15日の読売新聞のコラムから小山さんによる説明を引用してみる。

ラフマニノフはこれを公演先の米国で書き、後に亡命もした。華やかな曲想の裏にロシアへの強い郷愁がこめられているのは、彼の人生・運命を予言したかのようです。新天地への希望と望郷の思いが交錯し、胸を打たれます。(中略)彼の演奏を聴くと、技巧面を超えてどう聞き手に訴えるかが熟考されている。ピアノという楽器に対して合理的に書かれているので、演奏中の動きが理にかない、自然なことも驚かされます」

ピアノ協奏曲は学生時代モーツアルトのものを少し聴いただけで、ラフマニノフのものはほとんど聞いたことがない。残念ながら僕には小山さんのようには、この「ピアノ協奏曲史上でもそうはない名作」の本当の価値を理解することはできないだろう。だが、小山さんの書いたメッセージは自分の中の何かを動かし、僕は今雑音だらけの古いラフマニノフの演奏を聴いている。