初めての留守番電話

打ち合わせを終えて何気なく携帯電話を確認してみたら不在着信と留守番電話を示すメッセージが表示されていた。着信は9:35で、父の携帯からだった。留守電には、少し慌てたような感じでただ「あとで電話する」とだけ伝言が残っていた(留守番電話に慣れていないとメッセージを残すのは難しい)。すぐに何かあったのだとわかり、鼓動が早くなった。

要件は北海道に住む親戚が亡くなったことを知らせる連絡だった。体調が悪いとは聞いていたけれど、それほど悪いとは知らなかった。通夜は6月14日、父は来なくて良いと言ったが行くことにした。とりあえず飛行機を予約し、不在になる二日間の間に起こるであろう出来事を頭の中でシミュレートして、できる限りの準備をしておいた。

どうしても出なければならなかった打ち合わせを終えるとそのまま家に帰り、用意を始めた。僕は会社ではストライブのシャツしか着ない。こうしたときのために買っておいた無地のワイシャツをおろし、クローゼットから礼服、黒いタイ、数珠を出した。そしてもう会えないんだなと考えていた。会えない人を見送るために、明日北海道に帰る。