タイムスリップ

いつものことだけれど、実家に戻ると昔にタイムスリップしたような気持ちになる。

子供の頃の食器や家具が当たり前のように置かれている。自分はこんなにも変わったのに、食器や家具は変わっていない。母親が「こんなものがある」と言って、そろばんを持ち出してきた。小学校の算数の時間に使った教材で、紙製のケースの四隅にはビニールテープで補強されていて、ケースの裏には小学校の名前とクラス(僕は3年7組だったみたいだ)と名前が書かれいて、そろばんの本体には白いペイントでひらがなで自分の名前がつづられている。

TVで人気の「なんでも鑑定団」に出すようなものは、何もないけれど、自分にはあまりに特別な物に囲まれて、子供の時には想像もしていなかった、年を重ねて両親と過ごす時間。