「星空の冷蔵庫」

23時からたまたま目にした番組、「素敵な宇宙船地球号」にひきつけられた。「星空の冷蔵庫」とは、発明家の藤村靖之さんが考案された非電化冷蔵庫(電気を使わない冷蔵庫)だ。動作原理については、下記リンク先を参照して欲しいが、土の中に埋められた箱が冷蔵庫の本体で上部にはふたがついている。日が暮れたらふたをあけておく。それにより絶対零度の宇宙に向かって、庫内から熱の放射(輻射)が行われる。夜が明けたら、ふたを閉じて庫内の温度の上昇を防ぐ。箱、というか冷蔵庫の周囲には墨混じりの水がはいったペットボトルが配置されているだけだ。驚くことに、オンエアされた内容では運用開始5日目にして日中の気温33度に対して庫内は20度以上!温度が下がっていた。この「冷蔵庫」の効率は、宇宙に向かってどこまで一方的な輻射を実現できるかに依存しており、本体の断熱と澄んだ夜空が鍵となる。晴天の日の夜に冷え込む放射冷却と同じだ。だから、この冷蔵庫は国内で使える場所はかなり限定されてしまう。番組で放送された設置場所はモンゴル草原で、モンゴルでは現在4セットか5セットが使われているらしい。

草原で暮らすモンゴルの遊牧民も電化製品を使うようになっている。番組の中で説明があったけれど、壊れて修理ができなくなった電化製品が草原の中に置き去りにされることが増えているようだ。見渡す限り広がるモンゴルの草原に日本製のラジカセやブラウン管テレビが放置されている光景は、最近見たSF映画アイ,ロボット 通常版 [DVD]よりもよっぽどSF的だ。「先進国」の文明が地球規模に波及することによって、ゴミの増加、環境破壊、地球温暖化を加速する。藤村さんは、そのことに心を痛められて、羊の毛皮などモンゴルで手にはいる素材で、電気を必要としない冷蔵庫を考案、普及されようとしている。その気持ちが響いた。