昨夜捜し物をしていたら昔住んでいた部屋の鍵がでてきた。使い込んでいたから、傷だらけで、ところどころ真鍮の地金が出ている。この鍵を使うドアはもう存在しないのだけれど、引っ越したときに捨てかねてしまっておいたものだ。

使えない鍵、本来の意味を失った鍵を手のひらにのせて眺めて思った。昔思っていた気持ち、伝えられなかった想いもまたこの鍵のようだ。ただそれは目に見えない。