場違い

僕が就職して最初に配属されたのはNTTの横須賀電気通信研究所*1だった。毎日京浜急行赤い電車に乗って、京急富岡から当時野比という名前だった駅まで南に下り、そこから「通研バス」と呼ばれていたバスに乗りかえて山の上の赤茶けた建物に通っていた。今日はその通研のOB会があり、午後6時に品川のアネックスのビルに向かった。

受付を済ませて名簿をもらう。参加者は140名にもおよぶということだが、もらった名簿を眺めていたら、どうやら自分が今日のOBの一番「若手」らしいことに気がついた。参加者は関係会社の幹部の方々ばかりだ。あまりに偉い人ばかりで、自分が話せる相手がいない。忙しいところを無理して出てきたのに失敗だなと思いながら窓の外を見た。うっすらと夕暮れがはじまりかけていた景色の中に東京タワーが見える。タワーの下の部分を走る車のライトが、ちょうど東京タワーにかけられたネックレスのようだ。赤、白、青・・・。「こんなことなら、東京タワーにでも行ったほうが良かったな」、そう思いながらアネックスビルの12Fから窓ガラス越しに撮影した。携帯電話のカメラで、かなり広角なので小さくなっているのが残念だ。

*1:でも誰もそんな名前でなくて、横須賀通研と呼んでいた。