「あなたが私を好きだった頃」

あなたが私を好きだった頃

あなたが私を好きだった頃

書店でこの本を見つけたのはもう数ヶ月も前のことだ。青い表紙とタイトルに惹かれて手にとりページをめくった。そしてそっと元の場所に戻した。それ以来、書店に出かけてこの本を見つけると手にとり、少しページをめくって、また元の場所に戻すということを何度か繰り返している。

そのタイトルと序文に書かれている言葉から、この本には飾られない本物の気持ちが込められていることがわかる。手にとって開いたページからは、井形さんの気持ちこぼれてきそうだ。本物の気持ちは伝わり、人を動かす。だけど、「あなたが私を好きだった」だから、この本は終わってしまった出来事を振り返って書いたものであり記録だ。出会いから始まる幸せな日々の後には、愛されなくなった失意の日々が続くのだろう。そして、それを超えたからこの本があるのだろう。

手に取るときはいつも読んでみようかという気持ちがある。そして、自分がこの本を読みたいという気持ちはどこからくるのかなと考える。書かれた経験は井形さんのものであり、それをトレースすることの意味はなんだろうと思う。そして、自分の経験でなかったとしても、愛されなくなった日々を読むのは辛い気がする。

この本は最近よく売れているようで書店で平積みされていることが多い。そうなってからは、僕はあまり手にとらなくなった。でも青い表紙を見るたびに形容しがたい不思議な気持ちになる。