「食品の裏側」の怖さ

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

新聞でこの本の書評を目にして以来気になっているが、まだ現物を手にとってはいない。amazonの読者レビューを追ってみた。

食品が添加物だらけになっていてそれを避けることが事実上不可能であることには驚かない。レビューを読んでいるうちに、本来脇役のはずの添加物がそれ自体「味」を作り出している、いわば味の「主役」になっているような気がして恐ろしいと思った。添加物自体が食品になり、それにバニラエッセンスのように本来食材であったもののフレーバーが添えられているとしたら・・・、知らず知らず人々が「添加物」の味を自らの嗜好にしてしまっていたら・・・。味覚が奪われるという作品を書いたのは確か小松左京氏だが、これは言うならば味覚が差し替えられる話だ。

かなり前のこと、テレビで農家のインタビューを見た。「今のほうれん草はほうれん草の味がしない。見た目はほうれん草なのにほうれん草の味がしない」と言っていた。実際に成分を分析すると、本来の(あるいは昔の)ほうれん草の成分と違った結果がでていた。ほうれん草ではなく、ほうれん草もどきだ。それは他の野菜も同様だろう。見た目は同じで、中身や味がすり替えられているとしたら、それは誰の責任であり、問題なのだろうか。添加物を摂らずに生きていくことは現代では不可能だろう。だけど、自分の中の本来の味覚、与えられた味覚は保ちたい。とりあえず僕はコーヒーミルクをやめてみることにした。