それは監査と証跡の問題だろうか

不二家が消費期限を過ぎた牛乳を用いた製品を出荷したこと、それを含めた問題を社内調査で11月に把握しながら公開しなかったことが報じられている。ホームページでは現在、通常のコンテンツではなく、謝罪のメッセージが掲載されている。

掲載されているメッセージには、原因として「規範を順守し、食品の安全性を確保するということについての認識と対策が不十分で」と書かれていて、対策については、「埼玉工場では原材料の在庫管理シートを改定し二重三重のチェックを行い、再発防止に努めております。今後工場の品質管理担当を独立させ本社組織に直結させ、日々の監査を強化して参ります。食品衛生マニュアルを順守しチェックを増し、データや文字資料など必ず物的証拠を残すよう管理を強化して参ります。埼玉工場以外の洋菓子工場(野木、札幌、泉佐野、九州)でも対策を徹底させます」とある。

食の安全は監査や証跡が作るわけではない。監査や証跡は確認であって、もっとも重要なことは食品を扱うことの意味と重要性、責任を認識することではないだろうか。よもや不二家で働く全ての人たちがそれを忘れたとは思わない。だが、それを損なうことができる権限を与えられた人たちがこの事態を招いた。パートやアルバイトの人を含めて長年不二家の製品に関わって来た人たちはどれだけこのニュースを残念に思っていることだろう。不二家は、自分が住む街にも出店している。空の陳列棚と謝罪が掲載されている様子を想像するのは、とても悲しいことだ。