昨年12月にCELFでTOMOYO Linuxを紹介した際に、メインラインへの提案と4月にカリフォルニアで開催される会議での紹介を勧められた。メインラインにはまず入らないだろうし、国内で多くの人に使ってもらえれば良く、そのときはむしろメインラインにないほうが自由がきくと考えていた。また、今はR&Dのフェーズではないので、会議の発表も考えていなかった。考えていなかった2つのことが、それから動き始めた。

会議へのエントリーにはまずアブストラクトを書かなければいけない。そのことはずっと自分の中で課題とやりたいことの中にはいっていて、文字通り頭から離れない。ずっと書かなければいけないと思っているのだけれど、むなしく平日が過ぎ、週末が過ぎ、どうしても書けず今日になった。論文を書くわけでもないし、字数制限等もないのに書けない。こうしたときは、とても辛い。その書けなかったアブストラクトを、今日やっとそのドラフトを書き始めることができた。

少し前、アスキーからUNIXマガジンの原稿の依頼を受けた。紙数は8ページで、そこにただ「概要」を書くつもりはない。今まで書いたものと全く違うアプローチで、今まで書いたものを全て読んでいる人にも新しいものにしたい。ひとつ仮説として考えていた方法を書き下ろしてみた。それで書けるかどうかわからないけれど、頭の中にあるアイデアをそっとそっと壊れないよう虫取り網のようにして、ふわっとくるみこむように見えないものを形にしてみる。いつもうまくいくなんてことはない。無惨に失敗したり、空振りしたりすることが多い。でもたまに振り下ろした網の中に自分がつかまえたい何かが入ることがある。それはごく一部でも些細なことでも良い。探していた何かが入っていたら、根気よく、注意深く網を投げる。それはまるで狩りをしているようだ。