よみがえる記憶

昨夜軽い頭痛を感じて早く寝たが、今朝になっても変わらなかった。頭痛のせいか、不安な夢を見た。出張に行ったけれど、場所を間違えたというような変な夢だ。話の内容はおかしいのだけれど、登場人物は職場の同僚で、表情まではっきり残っている。

何の関係もきっかけもないのに、昔のことを思い出した。僕は休日に京浜急行の富岡駅で下りの電車を待っていた。今はどうかわからないが、当時の富岡駅は普通電車しか停車しなかった。急行電車が通過します、というアナウンスが誰もいないホームに流れたとき、屋根のないホームの上空に二羽のスズメがじゃれあって飛んできた。とても楽しそうに、からまるようにして。僕はとても嫌な予感がした。急行電車がホームにはいってきたとき、その予感は的中してしまった。音がして、一羽のスズメが電車のフロントにぶつかり、下り電車のホームに落ちてきた。僕は、スズメのところに歩み寄り、手のひらに載せてみた。血は流れていないが、スズメは目をつぶって足をまっすぐにしてこときれていた。もう一羽のスズメは、かろうじて衝突を避けることができたようで、ホームの上空をさえずりながら飛んでいた。僕は何もできることがないから、せめて動かなくなったスズメを下りのホームの端のところに置いておいた。

スズメが電車にぶつかったときの音は思い出せないけれど、手のひらにのせたときのその重みは今も覚えている。もう一羽のスズメを見上げて、スズメにはこの出来事の意味がわかるのなかなと考えたそのときの気持ちも今も残っている。もう20年以上も前のことなのに。京急富岡のホームは、小田和正さんがMY HOME TOWNのジャケットの撮影に使ったとどこかで見たような気がして、ネットで探してみたけれど見つからなかった。実際にそうだったとしても、もう駅も変わってしまっているだろうけれど。