ラジオの時間

帰宅したらネットで購入したソニーのラジオ、ICF-EX5が届いていた。

このラジオを買うまでには長い話がある。毎朝通勤で使っていたソニーのSRF-M90のヘッドフォンジャックのところが接触不良になったので、オークションでその後継のSRF-M95を購入した。M95はジョグダイアルがついて操作性が改善され、本体はスリム、軽量になった上、電源が単4電池1本(M90は2本)と省電力化されている。良いことずくめだが、「音質」がM90に比べると落ちているような気がした。全体として線が細く、音の密度が薄くなっているように思われる。それに加えて、低音部の強調はM90より強いので、全体に粗い、薄っぺらい印象を受ける。もちろんそれほど極端に悪いわけではないのだが、先に良いほうの音を聞いているので、違いはどうしても気になってしまう。

そのことがきっかけになり、「音の良いラジオ」が欲しいなと思い、世界中を旅して探してみた。そこで見つけたことはとてもここには書ききれないけれど、一言で言うと70年代や80年代の日本のラジオやラジカセはとても素晴らしいものだったということだ。例えば、ソニースカイセンサーのシリーズなど本当に見ていて惚れぼれする。

ICF-EX5は高音質のラジオではなくて、高感度のラジオとして(マニアの間で)評価が高い。そしてこの製品は1985年製だ。数多くの名機が生産ラインから外れていった中で、22年を経た今も生産され、購入することができる。チューニングはもちろんアナログだが、同期検波回路を備え、中波(AM)の感度では国内トップクラスのようだ(マニアのサイトを調べると実測値が掲載されている)。単2乾電池を4本入れて、22年前のラジオに灯を入れてみた。ダイアルやボタンではなくチューニングノブを回す。ちょっと触れるとチューニングは外れるし、バンドを切り替えたらまたチューンしなければならない。とても不便だけれど、とてもとても懐かしい。昔スカイセンサーやスタジオシリーズのラジカセにあこがれ、カタログを穴があくほど眺めていたころの自分を思い出した。