与えられたテーマ

少し前から論文に書きたいテーマがあった。でもじっくり考え込んで見つかるものではなく、むしろその逆が多いから、そのまま時間に任せていた。

今朝、いつものように東海道線に乗り、東京駅で下車してホームから階段を降りる途中で、誰かが僕の中にそのテーマを届けてくれた。それは、もやもやとしたイメージであって勿論言葉や単語ではない。自分の頭の中にだけ存在して、自分だけが解釈できる「形」だ。東京駅から中央郵便局の前を通り、有楽町に向かって歩きながら、その「形」を言葉にしていった。「形」が見えた時点で、それは言葉につながっているし、忘れることはない。だからあせることはない。有楽町の国際フォーラムにたどり着く前に論文のタイトルが文字列として完成した。その論文を書ける時間があるかはわからない。

国際フォーラムの中のインフォーメーションのブースでは、数日前からポトスの鉢が少し減って、ウィンドウの外側にチューリップの鉢が置かれている。そのチューリップはとても美しいのだけれど、僕はポトスの鉢だけがウィンドウの内側に置かれていたときのほうが好きだった。そんなことを考えながら、通り過ぎた。