「感じるコンピュータ」

少し前にソニーVAIOのコマーシャルで「感じるコンピュータ」というコピーを使っていた。それを聞いたときに、思い出したのは、今この日記を書くのに使っている白いMacBookのことだった。僕のMacBookはしゃべらないけれど、僕に何かを伝え続けている。

スティーブ・ジョブズの伝説の中に、彼がマッキントッシュの基板のパターンをもっと美しくしろと命じたというものがある。驚いた開発者が、そんなもの誰が見るんですかと聞いたら、俺が見ると答えたという。最初のマックの筐体の裏側には、開発プロジェクトの名前が刻印されていたのは有名な話だ。特殊な工具がないと開けないような筐体の中、見えないところに、開発者の名前を刻むところにスティーブのこだわりと美学が感じられる。

僕のMacBookは自分で、ハードディスクを320GBに換装し、メモリを4GBにしてある。本体裏にあるバッテリーを外して、その裏を見たときに絶句し、思わず手がとまった。基板の伝説も本当だろうと信じた。おそらくスティーブは、ユーザを喜ばせようと思ってこんなことをしているのではないと思う。多分、自分のためにやっているのだ。でも、そのこだわりは、それを理解する人に確かに伝わり、それを理解できる人を感動させる。

アップルはきっと「感じるコンピュータ」というコピーは作らないだろうと思う。でもアップルは、感じるコンピュータを作っている。「感じるコンピュータを作ります」という必要はない。ただ、作ればいい。

*ハードディスク換装の天国と地獄

大きな講演を何度か行った2004年頃は会社のノートPCを持ち歩き、場所に関係なく時間さえあれば作業していたが、セキュリティの話が問題になって古き良き時代は終わってしまった。会社と個人の作業を完全に分けることにした。記事の執筆やTOMOYO Linuxのデモ用にThinkPad X61MacBookを購入し(執筆業としては、今のところ大赤字で倒産寸前だ)、会社の活動として発表するもの以外は、資料の作成は会社以外で行うというのが今のスタイルだ。

両方ともハードディスク容量は160GBでやや少ないので(MacBookのほうはそうでもないが、Windows VISTAのほうは160GBでは落ち着いて使っていられない)、自分でSerial ATA 320GBのディスクを買ってきて換装したのだけれど、ThinkPadというよりはWindows VISTAMacBookでは文字通り天国と地獄の違いだった。どちらが天国でどちらが地獄かというと・・・(笑)。

MacBookのほうは、ディスクの種類を間違えないで、トルクスのねじ回しさえ用意しておけば、あとは適当に検索して見つかった手順の通りやればおしまいだ。特にノウハウも注意もなく、ここで記事を書く必要もない。ところが、Windows VISTAときたらもう大変で、ひどい目にあった。詳しく書いたらSoftware Designで3回分くらいの連載が書けそうだ。思い出すのも忌まわしいのだが、何故苦労したかというと、Windows VISTAのバックアップ機能やLenovoのRescue and Recoveryを使おうと思ったのが敗因というか根本的な間違いだったらしい。検索してみるとわかるが、バックアップをとる方法は多数ヒットするが、実際にバックアップをとってちゃんと(期待したように)リカバーできたという情報はほとんど見つからないはずだ。

OSC2008/Tokyo Fallで、Ubunuなhitoにこの話をしていたら、即座に「True Imageを使うのが吉」と言われてしまった。昔、Norton Ghostで苦労したことがあったけれど、このTrue Imageというのは、「ちゃんと書かれているように動作する」そうだ。いつか機会があれば試してみたい。