LXRの深イイ話

TOMOYO Linuxの運営で利用させていただいているSourceForge.jpでは、shell serverというサービスを提供している。それを利用して、TOMOYO Linuxのパッチをあてたkernelのコードを参照できるようにして公開しているのだが、いつのまにかそれが色々なところで使われていることがわかった。

kernelは2.4と2.6の両方について載せているが、熊猫先生がTOMOYOに関係ない部分を削除するというスクリプトを書いたが、面倒なので自分はいつも丸ごと掲載し、「どうせ誰も見ていないだろう」と思い更新も気が向いたら行うという感じでまったりと行っていた。あまり長く更新しないでいると、熊猫先生に「更新しろ」と文句を言われたりしていたくらいだ。

そんなある日、LXRの更新が失敗してインデックスがちゃんと作成できないということが起こった。調べてみたけれど原因がわからない。仕方ないので、久々に熊猫先生のスクリプトでkernelの関係ない部分をごっそりと落としてやってみるとちゃんと更新ができた。それから数日して、見知らぬ人から"TOMOYO lxr: drivers disappeared"というタイトルのメールが届いた。

Hello!
I have a problem with TOMOYO Linux lxr: "drivers" directory
disappeared (http://tomoyo.sourceforge.jp/cgi-bin/lxr/source/drivers/).

そう、彼は(彼女かもしれない)いつものようにTOMOYO Linuxlxrを見に来て、driverの枝がなくなったことに気づき、困って自分に連絡してきたのだ。

このメールを読んで、まず「自分(と熊猫先生)以外にここを見に来ているやつがいたのか」と驚いた。また、せっかく見に来たのにdriversがなくなっていて悪いことをしたと思った。すぐにLXRを作り直して、試してみたところ不思議なことに今度はちゃんとインデックスが作られた。なんだかよくわからないけれど、問題が解決したので、「ごめんごめん、直したよ」とメールした。

それから、しばらくして、気がついた。「TOMOYO Linuxのパッチは、driversには関係ない」のだ。メールを送ってきた彼は、本来の用途と関係なく、この俺様が苦労して(嘘)更新しているLXRを不正に悪用(やや大げさ)していたのだ。その上、それが参照できないとなると、文句を言ってくるとは、まさに盗人猛々しいとはこのことだ。

しかし、そこからが自分のおかしなところだと思うが、誰も使っていないと思っていたものがどこかで誰かの役に立っていた(但しTOMOYOには関係ない)ことがわかったので、なんだかちょっとうれしい気持ちになった。それ以来、Linuxカーネルが更新されると、できるだけ早くLXRを更新するようにしている。今日もこの日記を書く前に2.6.28.4が出ていたので、更新した。

この話はここでは終わらない。「他にも、ここを(不正に)使っている人がいるのかな?」と思って、調べてみた。すると、でるわでるわ・・・。いつのまにかTOMOYO LinuxLXRは世界中のLinux開発者に(不正に)活用されていたのだ。複雑な心境で、食いしん坊万歳という気分だ。