情報オリンピック講演の自己採点

講演1時間前の午後5時すぎに会場の国立オリンピック記念青少年総合センターに着いた。横浜からだとちょっと遠い。センターは、初めてだったけれど、全体がどのくらいあるのかわからないくらい広く、敷地にはおおぜい人がいた。センターは有効に活用されているようだ。

指定された部屋に入ると、誰か操作卓で作業している人がいて、それがメールで連絡をとっていた早稲田大学の守屋さんだった。画面が投影できることを確認できると、守屋さんは準備のため部屋を出たので、一人広い部屋で講演資料の最後の編集を行った。今回、話を聞くのが予選を突破した優秀な高校生で、人数が50人いることはわかっていたけれど、その高校生達と会ったこともなければ、今の高校生のカリキュラムもわからない。手探りで資料を用意したけれど、作業を始めたのは水曜日で、正味3日しかなかった。あとから考えると講演を行った自分自身が、どんな講演ができるか試験を受けていたようなものだ。

今回の講演は、金曜日に作成した予告とも少し変わって、Linuxの開発の話、数学の楽しさ、アラカルトの3本構成とした。Linuxの話を入れたのは、これからの時代のソフトウェアで重要な役割を占めるだろうということで、数学については、昨年の暮れからなんとなく興味を持って読んでいた数学の本から数学のおもしろさと不思議さを知って欲しかったからで、アラカルトでは、二人のSteve、クヌース先生などを紹介し、英語の重要さについて話した。

おそらく、Linuxの話題は聞いたことがなかった内容だと思うが、数学については、無限級数ガロアのことは知っていたり、「簡単すぎてつまらない」と思った学生がいたかもしれない。アラカルトについては、どのように話を聞いてくれたかわからないけれど、(通じなかったとしても)彼らに知って欲しい内容だった。持ち時間は45分で、43分くらいで説明を終えて、残り質問をとったが予想どおり質問はなかった。

学生達がいなくなってから、守屋さんと二人、残ってインタビューを受ける。その後守屋さんが時間が許せば懇親会もというので、センターの中のレストランで開催された懇親会にお邪魔させてもらった。乾杯をするが、アルコールはないので、コカコーラなのがおかしい。事務局の方とお話していると、スタッフの方が本当に少ない。この人数でこれだけの学生を受け入れるのはそぞ大変だと思う。学生たちには是非その期待に応えて欲しいものだ。

お酒のない不思議な懇親会が終わり、守屋さんと関係者に挨拶をしてセンタを後にした。講演については、自分としてはできるだけのことをしたとは思うが、話を聞いた彼らがどう思い、何を感じたかはわからない。本選の問題とは違って正解もない。帰りの電車の中で、もっとこんな話をすれば良かったかななどと考えていた。