自販機の缶ジュースに学ぶ
うちの会社には自販機が設置されていて、仕事や考えにつまると(つまり非常にしばしば)利用している。先日、「ひんやり夏みかんゼリー」というオレンジのゼリーがはいったジュースがあったので、購入してみたところ、「ゼリーの固まりが異様にでかくて」飲もうと思ってもゼリーがふたのようになり一向に液体がでてこない。さりげなく周囲のひとめを気にしながら、指を入れたり、舌の先をつっこんでみたり*1、すごい時間と苦労をかけて8割くらい飲んだときに、缶に印刷されてある注意書きに気がついた。こまかなことは忘れたが*2「缶をよく振ってゼリーをお好みの大きさに分解してからお飲みください」というような内容だ。また、よく見ると「振り方で変わる食感」というキャッチコピーもどきが一文字ずつ違う色で印刷されいる。あまりに液体が飲めないのでメーカにクレームするつもり満々だった自分は、この印刷の内容を見て一人静かにうちひしがれた。もっと早く言ってくれよ、そういうことは・・・。もう怒る気力すらでてこなかった。
それから歳月が流れ、苦い思い出を忘れかけた頃に新しい事件が起こった。それは、KIRINの「とろとろ桃のフルーニュ」という名前の缶飲料で、ゼリーは一切入っていない普通のジュースだ。正直、それほどおいしいわけではないが、なんとなく毎日これを飲むのが習慣のようになっている。自分はこれを買うと特に意味もなく振ってから飲んでいたのだが、ある日ふと魔が差して印刷の内容を読むと、
「ふらずにお飲みください」
と書いてあることに気がついた。
これはショックだった・・・。振る必要がないのに振って飲んでいたことは別に問題ないし、誰かにとやかく言われる筋合いもない。しかし、わざわざ「ふらずに」と書いてあったのを見て、それまで思いっきりふってから飲んでいた日々が走馬燈のようにかけめぐり、得意げに*3ふっているところを誰かに見られたような、そんな気がした。
「ふったらいけないのか?ふるのかふらないのかはっきりしろ、ついでに振るのかふるのかもはっきりしろ」(このやろう)
だいたい「とろとろ桃」なんて、いかにもふって欲しそうな名前つけやがって。ああ、確かに俺はふったよ、でも誰にも迷惑はかけていないぞ。
ということで、人生には自販機のジュースからすら学ぶことがある。さらに言えば、缶ジュースの印刷ラベルは読まないほうが良いと思った。