会社の食堂でトム・ハンクスを思う

7月29日に母校で行った講義は、業務での出張とはせずに休みをとって個人(OB)として対応した。内容的には通常の「夏休み」とはかなり違ったわけだが、まあ夏休みには違いない。夏休みにはお土産がつきものということで、職場の同僚にお土産を買ってきたが、ふと思いついて会社の食堂の店員さんにも最近はやってきているというクッキーを買ってきた。

会社のビルには食堂が2軒はいっている。「昼食」というイベントはかなり明確に定義されていて、毎日11:35くらいになると、熊猫先生が自分の座席の付近に現れて、二人で22Fの食堂に行く。熊猫先生が注文するのは、プログラムができていて必ず「かけそばにコロッケ」で、他のものを頼んでいるのを見たことはない。僕は、それよりはバリエーションが多くて(そりゃそうだ)、かけうどんかざるうどん、ざるそば、あるいはカレーライスで、年に数度他のものを食べることもある。11:35に出るのは食堂が空いていて、移動を含めた食事にかける時間を極小化できるからだ。本来の昼休みの時間帯には、省エネで照明が消された居室で、端末に向かい作業をするのだ。

いつも同じものを食べているせいか、いつしか売り場の店員さんと顔なじみになって、「最近来なかったね」とか声をかけられるようになった。注文してから料理ができるのを待つ間、言葉を交わすようになった。なかでもHさんという店員さんとは親しく?なって、ときどき頼んでもないのに「ご飯ちょっと多くしといたよ」とか言われて苦笑している。こちらとしては、ダイエットをしたいのでむしろ減らして欲しいのだが。「夏休み」明けに食堂に行くと、案の定「どうしたの、どっか行ってたの?」と聞かれた。「夏休みに地元の北海道に行ってたんですよ。みなさんでどうぞ」と言いながら、買ってきたお土産を渡したのが、数日前のことだ。

お土産はその後、みなさんで楽しんでいただけたようで、それ以降食堂に行くと、いろんな人に「ごちそうさまでした」と言われるようになった。今日は、ついにレジで支払いをしているときに、「ご出身、北海道なんですか?おいしかったです」と言われた。この光景は、どこかで覚えがあると思ったら、トム・ハンクス主演で僕が好きな映画、ターミナルの場面だ。自分でしたことながら、注文窓口にコピーが貼られたりしないだろうなとひやひやだ。