今日は午前9時に引っ越し業者がくることになっていた。

朝6時くらいに起きて、こまごまとしたものを整理していたら、4トントラックが到着した。実家は決して豪邸ではなくてささやかな家なのだが、なにしろ北海道なので4トントラックが横付けしても平気なのだ。僕は会社ではよく(毎年)引っ越しを行うので、引っ越しにはそれなりの経験がある(特に今年は4月に自分で引っ越しを指揮したばかりだ)。

会社で行う引っ越しはイベントもののと同様に手順が確立されている。引っ越しの荷物には宛先を書いたラベルを貼り、それを業者が指定された場所へ配送する。実家の引っ越しは、自分たちで梱包したりしばったりした上にマジック等で中身の説明や「台所」等行き先が書いてあるものもあるが、いかんせん統一されていない。必然的に「どこですか?」「えーと、それは」的なやりとりになる。事前に会社の引っ越しのときのようなラベルを作って送ってあげれば良かったと後悔した。

驚くことに業者は5名で訪れた。僕も自分の引っ越しを何度も行っているが、これまではせいぜい3人くらいでしか作業してもらったことがない。4トントラックと5名なんて!さすがに人手が多いので、積み始めると早い。もともと仮住まいの場所は実家から歩いていける距離だったので、午前11時過ぎには、「荷物を運び終わった」。しかし、2点の問題が残った。

  • どこに何がはいっているかが分からなくなってしまった。
  • 仮住まいで借りた部屋は3つしか部屋がないのだが、荷物はほぼ2.5室を占拠してしまった。

要するに一軒家の荷物を仮住まいとはいえ、おさめるには3部屋では無理だ。父親を説得して、使わなそうなものは極力持って来ないようにしたけれどもそれでも荷物が多すぎる。業者の人は、「どうするんですか?」と心配してくれたけれども、勿論これについては自分たちでなんとかするしかないので、お礼を言って代金を支払い、両親と3人部屋の中に立ちつくした。(椅子の上にも荷物を置いているから座るところがないのである)

呆然としていても仕方ないので、3D倉庫番的な感覚で、少しずつ箱を開いて、分類して、明らかに使わないと思われるものは、もとの家に戻すという作業をえんえん繰り返した。その結果なんとか夜10時くらいには布団を敷けるようになったので、近所の銭湯に行き(浴室にも天井まで荷物が入っているし、そもそも両親は銭湯派なので家にお風呂があってもあまり入らない。改築する家ではお風呂を1.3坪にしたようなので今後は変わるだろうけれども)就寝した。

寝る前に「映画でも観るか?」と言われて、父親がかけてくれたのはハリソンフォードのフランティックだった。父親はたまたまテレビで録画していて自分でも見てないものがあったのを見せてくれたようだが、それが偶然僕の好きな映画の一本だったことに不思議な気持ちを感じた。「そう言えば、この前に実家にきたときにはTVでジャン・レノのレオンをやっていて一緒に見たっけ?」と考えながら、画面を見ていた。

フランティックでは、エッフェル塔が重要な役割を果たしている。映画の冒頭はドライブのシーンで始まり、ゴミの回収車が引くとエッフェル塔が見えるという演出はなかなかうまいね、なんて思いながら見ていた。あまりに疲れて、眠かったので最後まで見なかったけれども、ハリソン・フォードがスーツケースをこじあける場面が大幅にカットされていた。ここはこの映画におけるとても重要な場面であり、この編集をしたテレビ局の人はフランティックをよくわかっていない。