「動揺」

朝、家の近くのコンビニで車の税金を支払っていると携帯電話が鳴った。

1998年から5年近く放送の仕事を行っていた。開発を担当したシステムはそのまま保守を担当したので、文字通り365日24時間電話をもらった経験がある。今の職場は業務の内容的に緊急連絡をもらうことはないのだけれど、今もずっと携帯している。携帯電話を持ち歩くことは誰にでもできるけれど、他の人から連絡がつくようにそれを使うこと、24時間の保守の電話を受けて、対応することは経験と訓練がなければ難しい。

電話の内容はビルの電源工事についてだった。今日工事があることは何度も周知をしていたけれど、どうやらサーバを落とさずに帰ったチームがあるらしい。何人かに電話をかけるが、つかまらないし、確認ができたとして、工事の方にシャットダウンを頼めない、駆けつけてシャットダウンするまで待っていただくのは不可能だ。だいいちどのサーバがあがっているかを確認できない。強制的に電源を落として良いと伝え、社員のメーリングリストに周知を投げた。

夕方5時過ぎにもう一度電話が鳴った。発信元はすぐにわかり、電話を受けたが様子がおかしい。会話と雑音が聞こえる。おそらく何かの拍子に電話が発信になり、そのことに気がついてないのだろう。誰かと話しながら歩いているらしい。気がついてくれないか少し待ったが、伝えようがないので電話を切り、携帯のアドレスに電話を受けたことを伝えるメールを送った。聞くつもりはなかったけれど、当人が意識しないで誰かと会話している内容を聞くことになって変な気分だ。細かな言葉は聞こえないけれど、声の響きで感情が伝わってくる。聞こえた声は僕が知っているその人の声とはどこか違っていた。同じように、人は相手によって伝える声が違うのかもしれない。

夜、食事をして入浴してから、宿題の資料を作り始めた。なかなか難題だ。"Once a fool..."と"Best of Bowie"を聞きながら効率の悪い作業を始めた。