ただのガソリンスタンドなのに

ミース・ファン・デル・ローエ [DVD]

ミース・ファン・デル・ローエ [DVD]

フランク・ロイド・ライトコルビュジエと並び20世紀の3大建築家と言われるミース(ミース・ファン・デル・ローエ )のDVDを借りた。

冒頭、紹介されるのは博物館でも巨大なビルディングでもなく、ミース(Mies Van Der Rohe)が設計したガソリンスタンドだ。別にどうということはない。何も特別目を惹くようなものはない。だが普通ではない。言葉にするとやはり、「美しい」という言葉が近い。大きくてがっしりとした天井、無骨に無口に役目を果たしている支柱、並行に並べられたむき出しの蛍光灯もデザインの一部だ。もし、僕がマン島に住んでいたら、きっと毎日このスタンドを見に行くことだろう。

DVDで初めて見たミースの作品は、ライトの作品とは異なり正統で、まっすぐな、それでいて普通とは異なる上品さを感じる。「どうだい?これが建築というものだよ」と主張しているようだ。葉巻をくゆらせながら余裕を浮かべるミースが見えるような気がする。56分のこのDVDにはそれほど多くの作品は収録されていない。それがちょっと物足りない。