リプリー

リプリー [DVD]

リプリー [DVD]

後味の良くない作品だった。後味の悪さの原因の半分は主演のマット・デイモンの選択であり、残り半分はストーリーだ。ストーリー(特にリプリー渡航することになる部分)にはかなり無理があるし、同性愛というテーマの扱いは中途半端だ。ロケにはとても贅沢をしているように感じられたし、感想を検索してみるとジャズと音楽の使い方が秀逸という発言もあったが、残念ながら僕はジャズはよくわからないし、これは観光映画でもない。気の利いたスパイスやデザートは料理を素晴らしいものにするかもしれないが、あくまでメインディッシュが良くなければ意味がない。ヒロインは作品中であまり魅力的に見えない。この映画で唯一光っていたのは、ディッキーを演じたジュード・ローだ。彼の作品はこれまで何本か見たけれど、この作品で初めて彼の2枚目ぶりというか魅力(オーラ)がわかった気がした。

多くの人が述べているようにリプリーは「太陽がいっぱい [DVD]」のリメークではない。両作品は共通点はあるが、別の映画だ。だけど、リプリーを見ると改めて「太陽がいっぱい [DVD]」のすばらしさに感嘆せざるを得ない。「太陽がいっぱい [DVD]」は何度も何度も見たが、フィリップを演じるモーリス・ロネの顔が思い出せない。その恋人を演じたマリー・ラフォレとアラン・ドロンのイメージは残っているのに。ジュード・ローがアラン・ドロンの代わりに「太陽がいっぱい [DVD]」を演じられるだろうかと考えてみたが、ちょっと違う気がする。「太陽がいっぱい [DVD]」はアラン・ドロンの作品ということだ。