ひさびさの論文

TOMOYO Linuxの活動を始めてから、いくつか大きな区切りがあった。2003年には、Network Security Forum 2003, Linux Conference 2003とほぼ完全平行で書いた論文が採用され、2004年には、プロジェクトにとって最初の講演となったNET&COM 2004に始まり、ビジネスシヨウ、CEATEC2004などとビッグイベントで講演が続いた。それからしばらく国内のイベントなどどさ回り?や執筆などをしていて、メインラインを意識してからは、怒濤の海外展開に突入した。いつも不思議に思うのだが、特に計画的に進めているわけではないのに、だいたいコンスタントにいい感じ(つまりかなりハードに)やるべきことが出現するのがこのプロジェクトで、始めてからは基本的にやることがないとかのんびりしようという状況にならない(たまに少しゆとりができると、落ち着かなくなったりする)。

Linux Conferenceは、その後も2004, 2005と投稿、発表し、他にもTOMOYOで論文を書いて欲しいと頼まれて愛知情報学ワークショップでも発表したりしていたが、途中から所属が事業部に異動となり論文を書かなくなった。2007年には再びもといたR&Dの部門に戻ったのだが、しばらくブランクが空いたし、何より異様に忙しい日々でそれどころではなかった。もう論文を書いたりすることはないかなと考えていたが、昨年末から不思議と「来年は論文を書く年じゃないだろうか」という気がしてきた。この感覚は、いわれもしないのにPacSec2007やFOSDEM'08に一人で投稿したときと似ている。

そんなこんなで、色々あったが、とにかく久しぶりに書いてみようと思った。それも今まで書いていない学会のほうで。雑誌の記事など短い文章は、結構書きなれているからだいたいのことは書けるのだけれど、さすがに論文はそういうわけにはいかない。そもそも何について書くかが決まっておらず、考えれば考えるほど難しい。ものすごく難しいパズルを解いているようだ。解けるか解けないかわからないパズルに集中するのは、悪くないけれどやはり苦しいし、煮詰まってくる。