Windows VISTAをバックアップした話

以前、Mac miniのハードディスクが壊れて、それまで登録しておいた写真を永遠に失ってから、バックアップの大切さに目覚めた。Macのバックアップは実に簡単だけれども、Windows VISTAのほうはUltimateに難しい。

バックアップのターゲットの説明

  • Windows VISTA HOME editionが導入済みで購入
  • HOME editionのふがいなさにあきれて、購入後すぐにWindows Anytimeで、Ultimateへアップグレード

この時点で、「あれ?もし何かトラブルがあったときに、初期導入されていたHOME editionには戻せるだろうけれども、どうやってUltimateにできるのだろう?」という素朴な疑問が生じた。確認したわけではないけれど、多分、「再度、Ultimateのライセンスを買い直す」以外はないだろうということに気づき愕然とする。*1

この段階では、実はそれほど問題がなかったのだが、その後

  • 調子に乗って、特に必要もないのにディスクを160GBから320GBに換装してしまった
  • さらに調子に乗って、Ultimate固有のBitLockerによる「ドライブまるごと暗号化」の世界に入った

こうして、ThinkPad X61に費やしたリソースが増大するにつれて、いよいよバックアップをとらなければならないと思ったのは、自然な流れである。最初は、LenovoのRescue and Recoveryを使ってみたが、結論から言って、「バックアップは作成できたけれど、そのバックアップでリカバーできなかった」。失敗の原因が、Rescue and Recoveryにあるのか、それ以外にあるのかわからない段階で、十分いやになって、Rescue and Recoveryはアンインストールした。

「仕方ないから、純正のComplete PC Backupをしよう。せっかくUltimateにしているんだし」と思って、BuffaloのポータブルHD (160GB)にバックアップをとってみた。「BitLockerが導入されていようが、なんだろうが、由緒正しいMS純正のバックアップツールだから、これで解決だ」と思っていたら、リカバリ時に思わぬメッセージが表示された。実際の内容は忘れたけれど、要するに「換装して320GBに肥大してしまったため、実際の使用容量は100GBもないにも関わらず、160GBのSATAのHDにはリカバリさせてくれない」のだ。

なんて理不尽な話だろう?

仕方ないから、ヨドバシカメラに行って、換装したのと同じ320GBのSATAのドライブを購入すると、ちゃんとリカバリできた。*2

最初は、黙って「無駄に広い」HDを使っていたが、そのうちなんとも言えないフラストレーションがたまってきた。何かがおかしい。something is wrong

別にSATAのディスクの値段は、160GBでも320GBでもそんなに変わらない。でも、バックアップできないからと言って、無駄に広いHDを使い続けるのは屈辱のような気がしてきた。(もちろんこれは錯覚である)

そうこうしているうちに数ヶ月が過ぎた。問題解決のヒントはOSC2008 Tokyo/Fall @蒲田にあった。隣のブースで対応していた、Ubuntuチームの方と話をしていたら、なんとなくバックアップの話になって、「Partition Magic」や「Rescue and Recovery」の悪さが話題になったとき、hitoさんが(何故ここだけ実名?)が言った。「いやー、バックアップなら、True Imageが吉でしょ。」。True Imageという製品の名前は、さんざんバックアップではまったときに検索したときに見かけた名前で、「VistaのComplete PC Backupがおかしい」的なフォーラムで、よく「True Image使えばいいのに」みたいにしてあったので覚えていた。思わずくいついて、「そんなにいいんですか?」と尋ねると、「あれは、ちゃんと動きますからね」と言う。ああ、世の中は厳しい。ちゃんと動くものは少ないのだ。

で、その後True Imageを入手したが、バックアップをとるには、バックアップデータを保存する場所が必要だ(当たり前だ)。そこで、使っていなかったPCにDebianを導入して、anonymousで書き込めるftpサーバをapt-get installして、ThinkPad X61クロスケーブルで接続して、バックアップを作成した。Debianのほうのディスクは80GB程度しかないので、おさまらなかったらどうしようかと思ったが、バックアップは圧縮してくれるようで、なんとか無事終了した。

そこで、ThinkPad X61に「もともと購入したときに、Windows VISTA へなちょこ HOME editionがプリインストールされていた160GBのディスク」をとりつけて、今度はリカバリ操作を行った。メッセージは英語だし、ややわかりにくいところがあったが、素晴らしいのはパーティションごとに容量のリサイズができる。注意深く、パーティションを選び、操作を開始して待つこと7時間くらい(というか就寝した)。朝、目がさめるとリカバリは無事終了しましたという画面になっていて、再起動するとちゃんとバックアップしたときと同じようにWindows VISTA Ultimateが立ち上がった。

考えてみればウルトラ馬鹿な話であって、もともと買った160GBで使っていればこんな苦労や手間はなかったのに、わざわざ無駄に広いHDに換装したのが悪かったわけだ。これは、「ぶかぶかのズボンをはいていると、いつのまにか太ってしまって、以前はけたズボンがはけなくなる」ということに似ている。

とにもかくにも、必要十分な容量でWindows VISTAが動くようになったので、自分としてはとてもうれしい。これからは、定期的にComplete PC Backupを行うようにすれば、トラブルがあってもVista Ultimateの環境ごと全てを飛ばしてしまうことはなくなる。

*1:こうしたことまで考えれば、いくら目先の値段が安くてもHOME editionのような素人向けのモデルを買ってはいけなかったのだ。

*2:当たり前のことではあるが、実際にリカバリができたときには思わず感動して、ビル・ゲイツ万歳!と言いそうになった。