はじめてのEMS

昨年の2月にベルギーに出張した際に、強盗に遭って鞄を盗まれてしまった。仕方ないので、ホテルのフロントで紙袋を2つもらい、それに1台ずつPCを入れて会議の会場に向かったのだが、鞄がないというのはどうにも不便なので、ホテルの近くのお店でPCを入れられるバッグを買った。買ったときには知らなかったが、Timbuk2というブランドのそのバッグはデザインも作りも良くて、帰国後気にいって使っていたが、あるときバッグを手に持つためのフックの部分が切れてしまい、背中にしょうことはできても、バッグを持って歩くことができなくなった。

バッグ自体はほとんど新品だし、切れてしまったフックの部分はどう見ても製造上の欠陥のように見えたので、修理しようと思ってお店を探していたが、バッグを売っているお店はあっても修理をしてくれるお店は見つからない。最後は、町田にあるグランベリーモールモンベルに持って行ったら、「日本の代理店さんに出してみます」と言ってくれたときは、とてもありがたかった。しかし、残念ながら代理店のほうでも修理は対応していないということで、いよいよ万事窮す。

ほとんど新品のバッグを捨てる気にはなれなかったし、自分が原因でもないのに不便を感じながら使うのもいやだったので、とうとうTimbuk2の会社に送ることにした。本社はカリフォルニアにあって、製品の欠陥については保証すると書いてある。ただ、どうやってアメリカにバッグを送るかわからないでいたが、鞄をしばって袋に入れて郵便局に持っていき、「これをアメリカに送りたいのですが」と言うと、「それならEMSが安いですね」と言うので、伝票を書いてEMSで送った。一体全体、送料がいくらかかるのかわからなかったが、2,800円だった。

送ったバッグはもう日本に戻ってくることはない(モンベルの店員さんによると、フックは切れたわけではなく、抜けており縫い代が短すぎたようだ。縫い直すと強度が下がるので、おそらく修理はできないでしょうと残念そうな顔で教えていただいた)。バッグはよほど特殊なことがなければ、Timbuk2のクレーム係に到着するだろうけれども、果たしていったいそこからどんなことが起こるのか、よくわからない。彼らはフックの切れたバッグを見て、どう判断し、どう対応してくれるのだろうか。よくわからないものにわざわざ送料と手間をかけて送るのは、ばかげていると思われるかもしれないが、なんとなく楽しみだ。