400の偶然

7月に母校でOB講義を行った翌日、ふらりと新札幌にあるプラネタリウムに立ち寄ってみた。夏休みの時期ということで、特別プログラムが組まれていたが、入場したときに上映されていたのが、ガリレオ・ガリレイをテーマにしたものだった。それを目にした瞬間、内心とても驚いた。というのも、OB講義の講演資料の冒頭にガリレオ・ガリレイの次の言葉を引用していたからだ。

You cannot teach a man anything; you can only help him to find it within himself.

人は誰に対して何も教えることはできない。ただ、相手の中にあるものを見つけるのを手伝うことができるだけだ。

今回、講義や自分の今後の講演の参考にと思い10冊以上の名言集を読み、数百件の中から5, 6件の名言を選び、講演のストーリーに沿って紹介した。名言集を読むとわかるが、よく引用されるのはAlbert Einstein, Peter Druckerなど、だいたい決まっているが、ガリレオ・ガリレイの言葉が引用されている本はきわめて少ない。たまたま、入ったプラネタリウムで、ちょうどその時間に上映されていたのが、そのガリレオの生涯をとりあげたものだった。

期せずして、ガリレオについて学んだ。

  • 今年はガリレオの生誕400年である
  • ガリレオは最初に望遠鏡を作った(なので今年は望遠鏡が作られて400年目になる)
  • 地動説を唱えた(というのは知っていたが)
  • 生涯を研究に捧げ、失明してからも研究を行っていた

プラネタリウムが収容されている科学館には、なかなか立派な展示もあって、なかでも太陽系についてのモデルと説明が興味をひいた。データを見ながらとても面白く思ったのが、太陽と月の大きさだ。太陽は、月の約400倍ととても大きいが、地球からの距離もまた月のそれの400倍離れている。そのため、見かけの大きさがちょうど同じになるので、地球に住む我々は皆既日食を見ることができるのだ。

「それでも地球は回っている」と言ったと伝えられるガリレオの生誕400年目の年に、実家の近くの小さなプラネタリウムに入って、太陽が月の400倍の大きさがあり、地球からの距離もまた400倍違うという偶然を不思議だと思った。それから、興味を持って宇宙科学の本を読み始めた。

ねぇ、知ってる?地球の衛星である月は例外的に大きいんだって。