「日本製TV 米で苦戦」

数日前の読売新聞に、ラスベガスで開催されていた国際家電ショー CESの記事が掲載されていた。副見出しは、「技術の優位性薄れる」「サムスン急伸」だ。

記事には、米ディスプレイサーチ調べの北米市場での各社の薄型テレビ売上高シェア(2009年1月〜9月)が掲載されているが、2009年のランキングでいうと、サムスンが26.9%でそれに続くのはソニー14.3%、ビジオ(米)10.7%だが、ソニーは2008年から大きくシェアを落としている。パナソニックは2005年には首位だったのが、それ以降低迷しており現在は8.5%。見出しにあるようにグラフを見るとサムスンの伸びが圧倒的で、ソニー幹部によるコメントとして「最新技術はサムスンのLEDという印象が定着した」とあり、別の日本メーカ幹部は「もはや日本メーカーが追いつくのは難しい状況だ」とある。

記事では、「これまで日本勢が得意としてきた高付加価値製品」分野について、日本が先行する3Dについて他がいち早く追随しており、またLEDやインターネット接続機能などについてはサムスンに後塵を拝しているとある。記事はソニー幹部によるコメント、「3D対応テレビは、ゲームや映画などのソフト部門と一体で取り組む。テレビでも競争力のある価格の製品を出せば、勝機は十分にある」で締めくくられているが、日本勢が価格面で勝機をつかむのは難しく、また、「一体の取り組み」については、日本の専売特許ではないので説得力がない。

「日本の強み」を出しにくい時代、技術構造になってきたのではないかと思う。トリニトロンに代表されるような職人技で世界を長期にわたりリードすることはもはや困難で、短期戦で多くの勝利を得るようにしなければならない。そのとき必要なものと日本のコアコンピタンスは何だろうと考える。日立製作所やパイオニアは今年CESへのテレビ出展自体をとりやめている。