マルチタスク

iPhone OSから名前が変わる新しいiOS 4には魅力的な機能が満載だがその中でも目玉は、マルチタスク対応だ。iOS 4マルチタスク機能を享受できるのは、iPhone 3GS以降とのことで、iPhone 3Gユーザは怒っている向きもあるが、iPhone 3Gを1年半使った経験から言うと、このハードにこれ以上重い処理をさせるのは、まあ無理だろう。いかにiOS 4マルチタスクが効率良く実装されていたとしてもパフォーマンスもバッテリーも実用的にきびしいと思っている。

実は最近自分もかなりマルチタスク化している。どんなことをやっているかというと、会社の本来業務(クラウド関連の調べ物と実験など、社内打ち合わせ)の準備があり、8月に行う2度目のLinuxConの発表準備があり、今月末が締め切りの情報処理学会の会員誌のセキュアOS特集記事の執筆があり、来月早々協業の具体化のステップとして、富山の某社の訪問準備があり、その他月末に向けた個人的な発表の準備がある。

タスクの多重度ということだけで言えば、この程度の多重度は今までにもあったが、今回はリソース不足が深刻化している。手足となって作業を行ってくれる担当者を外されてしまったので、会社で行う作業は自分と熊猫先生の二人だけ、それで全てを処理しなければならない。熊猫先生はスパコン並なのだが、自律的に行動するので(基本的にやりたいことをやるので)、手伝ってもらうことが難しい。会社に勤めていると誰もが経験すると思うが、やりたくないことやわからないことだからと言ってそれを避けることはできない。わからなくても、できなくても、検討しなければならないし、資料を書かなければいけない状況はよく存在する。そうしたことはもちろん自分で解決しなければならない。

多重度があがると、行う作業によって使われる能力というか脳の状態が異なることがよくわかる。「やらねばならぬ」モードと、「今度の講演をどんなふうにまとめようか」と考えるモードは、共存しえない。どちらかをやっている時は、残りは進まない(進められない)。記事を書いたりする作業は、比較的融通が利くが、それ以外はどうしてもシングルタスクで処理するしかない。

また、誰でも得意、不得意があるものだが、自分は企画や構想などが好きで細部は全然こだわらないのに対して、熊猫先生はその反対で特に細部にこだわる(文章についてもプログラムと同程度にこだわる)。つまり、手伝ってもらえる作業についても、どうしても自分が先行して書き始めるなど着手しなければならない。断片化された時間を寄せ集めて作成したドラフトは、思いっきりミクロな目で指摘を受けて、そういうときはつくづく因果な商売だと思う。

ということで、情報処理学会の会員誌の締め切りに向かって追い込まれながら、他のマスクできない割り込みに悩まされる今日この頃。