キーマンズネット連載

「セキュリティ」という言葉は不思議な言葉だ。子供からお年寄りまで、誰もが当たり前のように使っているが、その解釈は人により異なり、つかみどころがない。

昨年の12月、JNSAさん経由で、リクルートさんのキーマンズネットのコーナー、セキュリティ情報局の企画、「セキュリティWatchers」に何か書いてみないかという話をいただいた。セキュアOSについては、今までさんざんいろいろなところで書いているし、正直言って万人が興味を持つようなトピックでもないのでどうかと思うと返答したところ、思いもよらず「是非セキュアOSについて書いて欲しい」とのことだったので、引き受けることにした。内容は、ひとつのテーマについて、木曜日に4回(1ヶ月)連続して掲載、各回約2000文字という内容で、自分の担当は5月、テーマはもちろん「セキュアOS」だ。その初回記事が、昨日掲載された。

執筆の話をいただくときには、いつも最初に過去の記事を読んでどんな内容にするか考えるようにしている。このシリーズでは記事ごとにアンケートがついていて、読者の投票結果がそのまま記事と一緒に表示されるというシビアなシステムになっている(さすがリクルートだ)。投票の項目は次の5項目で、評価内容は5段階(「強く同意する」場合は5、「同意しない」場合は1)となっている。

  • 参考になった
  • 社内で共有したい
  • 今後が気になる
  • もっと詳しく知りたい
  • 対策を考えたい


今まで、Web, 雑誌記事などいろいろなところで記事を書いたが、書いたものの「反響」が自分で見えるのはこれが初めてかもしれないので、俄然モチベーションが高まった(笑)。連載を執筆するにあたり、5つの設問の中で特に重視したのは、「今後が気になる」だ。隔週で掲載される4つの話を連続ドラマを待つようにして、楽しみながら読んで欲しい、そう思って構成を考えた。また、ただ「面白かった」とか「楽しかった」だけでは困るので、連載を読み終わった時には「なかなか実用が進まないという状況」を改善し、「よし、じゃあ使ってみよう」という気持ちにさせることを目標として設定した。

隔週で全4回の連載だから、とにもかくにも連載の存在を知り、内容に興味を持ってもらえないことには始まらない。第1回はとても重要だ。今回は、読者があまり普段見たことがないであろう「乗っ取り」の画面を使用することを最初に決めて、全体の構成を考えた。ほとんど最初に書き下ろしたままだが、この日記でも引用した冒頭の一文が一番時間をかけて考えたもので、自分でも気にいっている。最初はきっちり2000文字だったが、編集さんのほうが「多少は大丈夫です」とのことなので、内容優先でまとめ、少し超えているはずだ。読み返してみるとやや地味だし、文字数の制限もあることから情報量はあまり多くないが、普段セキュアOSに関心を持っていなかった方の目にとまればと思う。5月13日(木)に掲載される第2回は、連載のひとつのハイライトであって、多分今まで誰も読んだことがないような新しいスタイルの解説になっていると思う。乞うご期待。

コレットマーレのサプライズイベント

今年の連休も特に外出はしなかったのだけれど、5月3日に桜木町駅の近く、みなとみらいにできた新しいモール、コレットマーレに買い物に行った。開店の11時より少しだけ早く着いてしまったので、入り口の前で待っていたら、思いがけないイベントに遭遇した。

最初に小学生くらいの女の子が外に置いてあったピアノの演奏を始めて、「あれ、どうしたのかな」と思っていたら、今度はどこからか男性のテノールが響いてきた。その歌声がライブであることはわかるのだけれども、それがどこから聴こえてくるのか、どこで歌っているのかはすぐにはわからない。居合わせた人たちは皆きょろきょろした。テノールの独唱の後は、ピアノの演奏も交えた音楽とダンスだ。5, 6名くらいの「関係者」が会場内を歩き回りながら歌い、ステップを刻む。「これからどうなるんだろう」と思っていたら、これらのイベントは午前11時少し前に終わり、関係者は黄色のハンカチを手にして集まり、入り口を挟み整列する。揃ったところで、ビルの前にある釣り鐘が鳴り、モールの開店を告げ、入り口のドアが開いた。

つまり、これはコレットマーレゴールデンウィークのために用意した特別なサプライズイベントであり、welcomセレモニーだったわけだ。ということをすべてが終わってから理解し、少し前まで歌ったり踊ったりしていた関係者の方々の迎えの中、コレットマーレに入った。なんて気の利いた、なんて質の高いサプライズだと感心したので、関係者の方々への感謝と敬意をこの日記に記録しておくことにしよう。

この素晴らしいサプライズイベントは、YouTubeの動画に登録されているので、興味のある方は是非どうぞ。

いつも持ち歩いているiPhone 3Gで撮影した写真。





30年ぶりに

学年は覚えていないけれど、中学生のときだったと思う。友だちから500円で映画のチケットを譲ってもらった。それまでも映画館に行ったことはあったけれども、両親と一緒で作品は東映漫画祭りとかそんなのばかりだったから、もし見に行っていたら、きっと自分で見に行った人生最初の映画になるはず、だった。

「だった」というのは、結局僕はその映画を見に行けなかった。両親が子供(中学生)が見るような映画ではないと言って、止められたからだ。その映画のタイトルは、ジャック・ニコルソンが主演する「カッコーの巣の上で」だった。Wiki pediaによると、この映画の日本での公開は1976年の4月というから、今から34年前のできごとになる。

そのとき、両親がどのように僕がその映画を見ることに反対したかは、今はもう覚えていないけれど、どんな表情だったかはぼんやりと記憶に残っている(もっともそれがどれだけ正確かは確かめようもないのだが)。インターネットもなければ、パソコンも持っていないし、映画雑誌を読んでいたわけでもないから、映画の詳しい内容は知らなかったわけだが、それが通常の娯楽映画ではないことは自分は知っていたし、両親と一緒に暮らす中学生の自分には反対を押し切って映画を見に行くという選択肢はなかった。だから、結局「カッコーの巣の上で」を見に行く事はなかった。チケットは、もちろん今は手元にないが、そこで使われていた写真は今も自分の記憶に残っていて、ジャック・ニコルソンの横顔と背景の空の青さを覚えている。そうして、「カッコーの巣の上で」は自分にとって特別な意味を持つ映画になった。

それから30年以上の時間が過ぎて、僕は高校、大学に進学して、神奈川で仕事を得た。「カッコーの巣の上で」は、言うまでもなくアカデミー賞も受賞した名作であり、僕が独立して自由に好きな映画を見られるようになってから、何百回となく見る機会はあった。実際TSUTAYAで手にとってまさに借りようとしたこともあったけれど、いつも最後のところで自分の中で何かの力が働き、それを棚に戻していた。それは、自分にとってあまりに特別な存在、特別な映画になっていた。

少し前に、ついにその映画を見た。30数年ぶりで見るその映画は、評判に違わぬ名作だった。主演のジャック・ニコルソンを始めとするキャスティングは、二度と忘れられない素晴らしい演技をみせていた。映画を見終わってから、僕は「もし自分が中学生のときにこの映画を見ていたらどう思っただろう」と考えた。また、両親はどう思って、この映画を中学生の自分に見せたくなかったを考えてみた。両親は、おそらくもうこの映画のことも、それを見るのをとめたことも覚えていないだろう(なにしろ30年以上も前の出来事だから)。だから、そんなことを考えても何の意味もないのだけれど。

カッコーの巣の上で [DVD]

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おおざっぱな国、アメリカ

LinuxCon 2010のプログラムが公開された。

LinuxConはこれが2回目だが、昨年と比べいろいろ変わっている。何より、キーノートスピーカーが、カーネル開発者ではない。これって、Linuxの会議では初めてではないかと思う。

プログラム的には、ここでもクラウドが猛威をふるっている?が、それ以外に"Mini Summits"という枠が追加されていて、これも昨年のLinuxConにはなかった。

まだ、じっくり見ていないが、日本からの発表は倍増(成長率100%)していて、今年は2件だ。で、自分のエントリーを見ると、所属がNTTになっていて、所属のリンクもntt.comになっている。まあ、今さら驚かないけれど、どんだけおおざっぱなんだよ・・・。

それにしても、Ted Tsoの写真が、Ubuntuの「あの人(を少しフレンドリーにした)」に見えて仕方ない。

「変わらないものはない」の例

上の写真は2004年の8月に当時使っていたソニーの携帯SO505iSで撮影したもの。撮影場所は横浜そごうの2F。横浜そごうからみなとみらいを眺めるこの光景は長らく自分のお気に入りだった。

それから5年半が経過した。Bay Quaterが建って、撮影ポイントにはアクリル製のフェンスができた。同じポイントでは撮影できなくなったが、新しくできた2つの大きなビルは、完全にみなとみらいの光景を遮断してしまった。下の写真は、iPhone 3Gを使いBay Quarterで撮影したものだが、これが上の写真とどう対応するかちょっと見ただけでは誰もわからないだろう。

というわけで、僕はBay Quaterの駐車場に車を停めて、横浜そごうに買い物にいく度に憂鬱になってしまう。

鞄を変える

通勤に使っていた鞄の型が崩れてしまい長年の協力に感謝しながら廃棄したのは数ヶ月前のことだった。それ以来、外出する度に良い鞄を探していたが、なかなか思うようなものが見つからない。気にいらない鞄を使うのも嫌だったのでTimbuk2をしょって会社に通っていた。

今までいろいろな鞄を使ったけれども、どんな鞄もノートPCを入れて使っていると長持ちしない。ノートPCを持ち歩くならTimbuk2のようなリュックが良いというのが自分の結論だ。

最近は、リュックを持ち歩く会社員も多いのでこのままずっとTimbuk2でも良いと思っていたけれど、機会があって久しぶりに「ビジネスマンらしい」鞄を持つことになった。今度の相棒は、ゼロハリバートン、ただしアルミではなくてナイロンタイプだ。ゼロハリは有名だけれど、ナイロンタイプのゼロハリを持っている人は街でもそう見かけない。それは「鞄は持つ人を表す」と考える自分にとっては重要なポイントだ。

新しい鞄とのつきあいは、いつも不満から始まる。鞄に求める条件は揃っているけれど、それを全て満たす鞄なんて存在しない(なので何ヶ月も買えないことになる)。だからどんな鞄を持っても、「ここがこうなっていればなぁ」とか「どうしてこんなふうにしたんだ」となる。それは、たとえば、かなり大きな鞄なのに二つの鞄をくっつけたような構造になっていて、大きなものが入らない、とか、PCを持ち歩くときに必要なポケットがないとか(ガジェット用のポーチのようなものは付属している)、何も入れないのに1.6Kgもあって重い、という感じだ。ゼロハリ君は、ただ黙って不満を聞いている。

でも、「馬には乗ってみよ」「人には添うてみよ」という言葉があるように、実際につきあい始めると見方は変わる。欠点だと思ったところはあまり気にならなくなるし、最初は良いと思わなかった美点が見えてくる。我がゼロハリ君も2週間くらいつきあって、ぐっと良い感じになってきた。存在感があるし、個々のパーツはとても良いものを選んである。自分のスーツより高級そうな裏地は、良い光沢を放っているだけでなく、ゼロハリのロゴが織り込まれていて、無駄にきれいでお洒落だ。鞄本体が重量級なので、ちょっとものをいれると相当重くなる。MacBookを入れるには勇気が必要だが、そのときはTimbuk2に交代してもらおうかなと考えている(と言いながらMacBook Airがあれば良いかと思ったりして)。

iPhoneの電池交換

iPhoneを購入したのは昨年の2月。電池のもちが悪くなったので、電池交換について調べていたら、アップルケアに加入していると無料で交換してくれると書いてあるところがあったので、横浜駅西口近くのソフトバンクショップに行ってみた。こういうことだった。

  • 電池交換は本体交換
  • アップルケアを購入している場合、「購入後1年以上経過していて、本体に特に問題がない場合には、一度だけ無償で本体交換による電池交換(なんだか変だけど)をしてくれる」
  • 2回目以降、あるいはアップルケアを購入していない場合には、9800円かかる

ということで、在庫もあるということなのでその場で電池交換(本体交換)をしてもらった。「間違えて、3GSと交換しないかな」と妄想していたが、残念ながらきっちり16GB白の3G端末だ。もとのiPhoneは今まで一年間ケースに入れずに使っていて、何度か落としたこともある。本体動作には支障はないが小さな傷がたくさんついていたのが、つるつるの新品になった。驚いたのは、タッチスクリーンがざらざらする。使っているとなめらかになるのだろうか。

交換してもらった直後は、SIMが入っていて電話としては使えるが、その他はまっさらで何も設定されていない。電話しかできないiPhoneを持っているとなんだか妙な気分で、「早く自宅に帰って、復元したい」と思う。新しいiPhoneMacBookにつなぐと、「へい、こいつは新しいiPhoneだけど、追加で登録するかい、それとも俺が覚えているバックアップで復元するかい?」と聞いてくる。もちろん、「復元でお願いします」を選ぶと、さっきまで電話しかできなかったiPhoneが、使い慣れたiPhoneに戻った。あたりまえといえばあたりまえだけど、やっぱり手品のようだ。

交換したついでに、いつになったら機種交換できるのか聞いてみた。すると、自分の場合は、端末代金を一括で支払済みなので「今日でもできます」と言う。但し、「毎月の割引があと13回分残っていて、機種変更するとそれを失うことになり、もったいない」と言う。割引は毎月1,980円だから26,000円程度になる。3GSにしたいのはやまやまだがやはりもったいないし、多分、もう少ししたら新しい端末がでてくるかもしれないので、ここはおとなしく13ヶ月つるつるになったiPhoneを使い続けようと思う。