聖夜にトイレ故障

「よりによって」、としか言いようがないのだけれど、自宅のトイレが詰まって水が流れにくくなった。体験したことのある人ならわかってもらえると思うが、これは結構怖い。映画の「呪怨」や「呪怨2」とかどころの話ではない。まあ「リング」は多少怖いし、「シャイニング」と比べるとどうかと聞かれると少し困るが、とにかく怖い。便器から水があふれそうになるのを見ると、まさに「今そこにある危機」という感じだ。

で、とりあえず「スッポン」と呼ばれる器具が家にあったので(買った記憶がない)、それでたまった水を流してから、インターネットで調べ物をした。非常にいろいろなことがわかったが、重要なのは「スッポンは押して使うものではなく、引いて使う」ということだ。サイトによっては「スッポンは強く押すと、便器を壊したり、配水管の水漏れの原因になるので決してやってはならない」と書いてある。正しい使い方は、「静かにスッポンを押し付け、強い力(と意志)を持って引き上げる」ことによりつまりを解消するということのようだ(複数サイトの記述で確認した)。また、親切なサイトにはスッポンを使う時に水(泣)が飛び散らないようにするための配慮について指示があったが、残念なことに「僕はそれらを見る前に作業した」ため、トイレの中は結構大変なことになってしまった。(笑→号泣)

しかし、恐怖はそこで終わらなかった・・・。

しつこくスッポンを使いながら水を流すと(普段は節水を心がけているが非常事態なので気にしていられない)、心なしか流れ方が悪い。試しにトイレットペーパを流してみると、水が便器にたまる。とてもとても悲しい・・・。(deepest sorrow)

再びネットで検索してみた。お手軽なのは業者に連絡することで、年中無休で受け付けているようだが「15,000円かかった」という記事を見て、最後の手段と考え、自力解決を目指すことにした。トイレの構造やトイレが詰まった時の器具をいろいろ調べたところ、以下の3種があることがわかった。

  • (通称)スッポン、ラバーカップとも呼ぶらしい
  • 強力ポンプ
  • パイプ詰まり解消剤

「強力ポンプ」は要するに巨大な注射器のような構造をしていて、それを便器に押し付けて押したり引いたりすることにより詰まりを解消するらしい。ネットを見るとかなり強力なようだ。「パイプ詰まり解消剤」は「詰まったものを溶かしちゃえ」という発想で、どうやって作っているのかしらないが強力な溶解剤で、ボトルの中身を数回(数日)に分けて便器に流し込み放置するらしい。

情報収集を終えてから車を出して薬局に行ったがスッポンくらいしか置いてないので、クリスマスの夜景を眺めながらホームセンターに向かった。するとパイプ詰まり解消剤はなかったが「強力ポンプ」の現物を見るとことができた。2千円少しだ。そのほかに同じ目的で使うトイレ詰まり用のワイヤーを見つけた。先がとぐろを巻いたような形状をしたワイヤーで、それをトイレの中に深く挿入し(非常に長い)、異物を押し込む、あるいは先端のワイヤーにひっかけて取り出すということらしい。しばらく考えてから、このワイヤーを購入したが(2,600円)、結果として正解だった。

「強力ポンプ」は要するにスッポンと同じ原理であって、便器の境目に一時的に挟まったものを動かして水を流すのには効果がある。しかし、もし本当に異物が詰まってしまい、便器と下水の配水管の間にある場合は「それを取り除かない限りは解決しないし平和も訪れない」。そのためにはワイヤーを使うか、詰まったものを溶かすしかないことになる。

勿論、ワイヤーを買うのも使うのも初めてで、最初はトイレの中で途方にくれたし、「本当にこんなものが便器の中に入るのだろうか?」とはなはだ疑問になった。使い方にはコツがあって、トイレの構造を頭に描きながら試行錯誤すること数回にして、ついにワイヤーを異物?につきあたるまで送り込むことができた。説明書にあるようにハンドルを回転させてワイヤーを引き上げようとしたが、これが出てこない。非常にあせった。(何故あせったかは、このときの状況を想像すると理解いただけると思う)

冷や汗をかきながら何度かやり直していて、ついにワイヤーを引き上げることができたが、そのとき何故ワイヤーがすんなり回収できなかった、また何故水が流れなかったが瞬時に理解できた。同時に、「よく初めて使ったワイヤーでこんなにうまく異物を回収できたな>自分」的な思いがわきあがり、ワイヤーを持ったまま、ちょっと感激してしまった(傍から見たらかなり間抜けな構図だが)。もしこのワイヤーのCMを作るとしたらモデルに採用されないか、あるいはこのワイヤーを開発した技術者が見たら、さぞ喜んでくれるだろうと思ったが、いずれも現実にはなりそうにないのが残念だ。

トイレで起こる問題にはパターンがある。今回のトラブルにより、おおよその場合についてそれを解決できる自信がついた。腕試しや場合によっては近所のトラブル解消やアルバイトをしたいところだが、まあとりあえず自宅のトイレに平和が訪れたことで満足しようと思う。

そんなクリスマスだった。


2006.1.3追記

将来自分のトイレが詰まって検索してここに来られる方があるかもしれないので、情報を整理しておく。

詰まりの原因が大量の紙を一度に流すなど一時的なものであれば、「スッポン」でほぼ完全に解決することができる。「スッポン」は比較的多くの店に置いてあり一台は常備しておくと良い。価格は1,000円前後。

誤って紙以外のものを流してしまった場合には、スッポンや「強力ポンプ」では解決できない。スッポンは効果がないし*1、「強力ポンプ」は逆に配管の工事等本格的な修理が必要になりかねないので、詰まったものと自分が何をやろうとしているかを理解していなければ薦められない。

異物を流してしまった場合、便器の中に見えなくなった異物は便器と配水管の中間のところにとどまっていることが多いと思われる。その場合の抜本的な対処は、この日記に書いたように配管詰まり対策のワイヤーを用いるか(原理的には入ったのだから取り出すことができる)、あるいは異物を溶かすための溶剤を用いることになる。この場合も異物が何かを知らないと正しい対処ができない。

配管詰まりのワイヤーはスッポンとは異なり基本的には業務用であり、一般人が使うものではない。やや大きめのホームセンター等に行かなければ置いていない。価格は3,000円程度。今回はこのワイヤーを初めて使って、無事異物を回収できたが、振り返ってみると大変幸運だったと思う。スッポンで解決できない場合には、一般的には業者さんに連絡をとったら良いだろう。

  1. http://www1.coralnet.or.jp/pm100/syuuri.htm (トイレの構造が図解されており、対処を考える上で参考となる)
  2. マダム油田 暮らしのDIY (「スッポン」の使い方を含め適切な情報がよく整理されている)
  3. 水周りのペンギン堂 パイプクリーナー (今回購入したのは三栄水栓のPR86)
  4. http://store.yahoo.co.jp/eco/k-97.html (今回試さなかったもうひとつの解決手段である薬剤。いかにも効きそうだが、即効性はないので家にトイレが一台しかない場合は難しいだろう)

トイレ詰まりを含め水回りのトラブルは、ほとんどの会社が24時間365日対応してくれる。費用は結構ばらつきがあるので、事例や情報を参考にしながら選択されることを勧めます。

*1:一時的に流れが良くなったとしてもそれはたまたま異物のポジションが変わっただけですぐに悪化する。異物がある場合にスッポンを使って何度も水を流すのは愚の骨頂だ。